2019年11月30日の京都で開催されたWING YOUのセミナーに参加しました。
CAP!、Dream Bird、TSUBASAに関わっておられる石山仁美さまが主催の
セミナーです。記念すべき第一回、シンガポールのジュロンバードパークの方々が
講師をなさるとのことで、とても楽しみにして参加してきました。その内容を
ご紹介したいと思います。講師の方々、セミナー内容は下記のリンクで見ることが
出来ます。
https://wingyouseminar.com/?p=65
最初にセミナーの後半、アジアの鳥の保護活動と動物園の役割についてに触れます。
SNSで白色オウム等の乱獲、密輸の画像や記事は目にしたことがありました。
その中でショウジョウインコのお写真もありました。しかしセミナーではもっと
多くの種類のローリー・ロリキートが乱獲、密輸され、とても酷い状態であることが
わかりました。突き付けられる現実。鳥もちで捕まえられ、羽をむしられ、狭い
容器にぎゅう詰めにされる鳥たち。一人一人の力はとても小さく、何が出来るかは
わかりませんが、ただ黙って放置することは出来ません。募金なり、何らかの
支援を継続的に続けてゆきたいと強く思いました。野生のローリー・ロリキート、
守ってゆかなければ。
セミナーの前半はジュロンバードパークでの飼育方法等についてです。
①鳥の種類に合った食べ物
鳥の種類、季節、運動量と健康状態によって食事の内容を調整しましょう。
日本の野菜や果物は糖分が高いので、あげる時は少しだけ。
ペレットは全体の10%~20%に。信頼出来るブランドのペレットをあげましょう。
発芽したシード、発芽寸前のシードのミックスをあげましょう。
ペレット、野菜、果物、それらのシードミックスを種類や個体の状態により
量等を調節してあげましょう。
ローリー・ロリキートは高糖質、果物50%、ネクターと砕いたビーポーレン50%、
とレジュメに記載がありました。
後で質問したところ、繁殖や運動量の多いジュロンバードパークのゴシキセイガイさんは
高めのたんぱく質をあげているそうです。
「肉を食べるゴシキセイガイを見た?」「見た見た!」とのやり取りをしましたよ。
椰子の砂糖をあげたいと飼育員同士でもお話ししたそうです。(これはラフィノース
シュガーについて今、色々とまとめていますので、またお知らせ致しますね。)
あと蜂蜜は絶対駄目!と。
それから、お花をそのままあげているそうです。花粉や蜜、お花そのものを食べられる
ように。日本では無農薬でそのままお花をあげることはなかなか難しいですし
お花を食べ物認定してくれるかどうかも難しいですが、試してみたいですね。
果物は先にも記しましたように、日本の果物は糖分が多いのでシンガポールと同じく
あげるのは危険です。糖分の低いものは入手が難しく悩ましいところですね。
*鳥爺寺子屋で紹介されていた「マッシュ」「チョップ」のように水に浸し
発芽したスプラウト、GERMINATE「種が膨らんだ状態で発芽寸前」です。
②衛生管理と病気
一般的な病気をあげられていましたが、危機感を持っておられるのはPDD(前胃拡張症候群)。
原因不明のボルナウィルスによる感染症です。血液検査はアメリカとドイツでしか出来ない
そうで、日本でも少しずつ知られてきていますね。日本でローリー・ロリキートでのお話は
あまり耳にしませんが、海外のサイトで罹りやすい病気の一つとしてあげられているのを
見ました。もう少し研究が進むことを願うばかりです。不明なことが多すぎる。
③育雛のヒントと住環境
挿餌の器、床材のお話が多かったです。レジュメに「体は呼吸により水分を失う」
(湿度が高ければ、息を吐いた時の体内水分子の減少速度が遅くなる)との記載があり
湿度の高いところに住むローリー・ロリキートは水分不足なのでは?と思っていた私は
質問をしてみたのですが、成鳥なら気にしなくても、とのことでした。しかし似た
住環境のサザナミインコさん、マメルリハさん、ホンセイインコさんがローリー・ロリキートと
似た病気になるとの話を聞いたことがありますので、高湿度にするのはともかく、水分を
こまめに摂取させるのは悪いことではないかな、とも思いました。限度はありますが。
(高湿度にするとウィルスや細菌も発生しやすくなります。)
④社交的にすること、エンリッチメント、特に食事のエンリッチメントについて。
楽しく頭を使って考えて、楽しくごはんを食べてもらいましょう。
これは頭が良く、運動量も必要、遊び好きなローリー・ロリキートには本当に
大切だと思います。しかしごはんがごはんだけに、非常に難しい。これはもっと
色々な方法を考えてゆきたいと思っています。
ざっと書き出してみました。懇親会の時にローリー・ロリキートについて質問したのですが
かえってきた答えは「ローリー・ロリキートは複雑で難しい」でした。ローリー・ロリキート
について、ずっと考えてきたあなたは根気強い、とも。「それを上回る程に魅力的な鳥
なんですよ!!」と力説しましたよ。「確かにとてもキュートでファニー♡」と
笑いながら答えてくれました。あっちなみに、ちゃんと通訳の方がいらっしゃったので!
日本のローリー・ロリキートの状態についてお話させて頂きましたが、思い当たる節は
なかったようです。ただ、腎臓が悪い、痛風が多いということは脱水症状が続いている
可能性もあるとのこと。うん、それはそうですよね。猫さんもそうですものね。
ただローリー・ロリキートの複雑さで、ただ単に水を摂っていないだけとも考えられず。
消化吸収の構造が他の鳥さんとは異なること、腎臓の構造も異なる可能性があるかもとのこと、
野生下の食べ物との違い、そのあたりが絡まりあっているかもしれません。
結局「ローリー・ロリキートはわからなくて複雑で難しい」といつもの結果に落ち着いて
しまいましたが、とても有意義でエキサイティングなひとときでした。
わからなくて複雑で難しい、と言いながらも、大きなヒントではなかったかと思います。
これからもどんどん頑張ってゆきたいです。